「あそこは異次元なんよ」
ゴム通の切削加工を手がけている工場には「異次元」と評される場所があります。“あそこ”とは熟練工Mさんと5軸複合加工機のこと・・・(Mさんはマシンと一心同体と思われているようです)。
プログラムのコードが数万行ある複雑な加工も大得意のこの5軸複合加工機。まるで宇宙船の一部を持ってきたかのような「いかついマシン」と「ちょっぴり猫背の職人さん」。この“コンビ”が積み上げてきたものをちょっとだけのぞいてみました。
生きているかのよう
部屋ほどの大きさがあるこのマシン、工場に導入されたのは2015年。導入当初からMさんが担当しています。その大きさとは裏腹に、まるで人の手が作業しているかのような繊細な加工ができます。
これを可能にしているのが「5軸」(詳しくはこちらINTEGREX (mazak.jp))。X軸、Y軸、Z軸、B軸、C軸を同時に制御し、複雑な曲面も滑らかに削り出すことが出来ます。あまりにもマシンらしからぬ動きをするので、あたかも意識があるのかと錯覚してしまいます。
「気持ち悪い動きをするんですよ~」とMさん。その声はどこか嬉しそう。(5軸複合加工機の動作風景)
「“泣きながら”やってます(笑)」
このマシン、扱う職人さんには相当の知識と経験が求められます。どのように技術を習得してきたのでしょうか?
「汎用旋盤で培ったゴムの感覚は今も活きています。でも汎用旋盤とこれは脳ミソ(考え方)が違うんです。それで、導入当初はMAZAKさん(マシンの製造業者)に研修に行きました。でも操作方法がどうしても分からないこともあります。そんな時はMAZAKさんに問い合わせて教えてもらうんですよ。」と謙虚に語るMさん。おもむろにキャビネットの中から分厚いファイルを取り出しました。そこにはMAZAKさんとやり取りした図面や過去の加工の記録がびっしり!!
「苦戦した加工など印象深いものがありましたか?」
「ん~~~~~~過去は忘れるけんね・・・・。今でも難しい加工の時は泣きながらやってます(笑)。」と柔らかく笑うMさん。しかし大量の記録ファイルが、一つ一つの仕事に真摯に取り組んできた日々を熱く証明しています。
実は社内にはこの“コンビ”の作品を楽しみにしている隠れファンがいます。「加工機の中をのぞくのが楽しみ~!」とのこと。誰かをワクワクさせるものを作り、「あそこは異次元なんよ」と評されるこの“名コンビ”、今日も黙々といい仕事をしています。
※ゴム通では、素材の簡易な加工をメインに手掛けております。複雑な加工の案件は別の部署が担当しております。
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