触ると金属独特のひんやりとした冷たさが伝わってくる無骨なボディ
“ザ・昭和の町工場” を彷彿とさせるこの汎用旋盤・・・令和においてもまだまだ現役です。しかし時代の流れもあり、職人の腕を存分に発揮できるこの優れものも、今ではゴム通の工場には一機のみ。他はすべて自動工作機械に置き換わっています。少しさみしい気もします。
どうして自動工作機械にシフトせざるを得ないのか?その理由は単純明快。動きをコンピューターで制御するほうが繰り返しの作業に強く、また加工時間を大いに短縮できるからです。とはいえ汎用旋盤にも魅力はあります。我が社でも数少ない汎用旋盤の使い手に尋ねてみました。
若き職人KSさんにインタビュー
「NC旋盤(自動工作機械)が主流になったけん、人の能力は下がっていくばかりです(笑)。でも汎用旋盤にしかできんこともあります。超柔らかいものの加工とかはNCではできんのんです。それにNCには数値の入力が必要じゃけど、その数値を出すのに汎用で鍛えた技術が必要なんです。NC旋盤にしかできんこともあるけど、汎用旋盤にしかできんことや磨けん技術がある!」(KSさんはどうやら広島弁の使い手でもあるようです)
なるほど、汎用旋盤にしかできない加工や学べないことがまだまだあるのですね!他にも、複雑で多くの工程を要する試作品を1つだけ作るという場合も出番だそうです。加工の現場では決して主役とは言えませんが貴重なモノが詰まっているようです。
技術の見張り番
新しくはないけど古くもない・・・ロストテクノロジーにするわけにはいかないこの技術を受け継いでいるKSさんはまさに「技術の見張り番」。こういったスペシャリストによって受け継がれている汎用旋盤、これからも無骨に働き続けます。
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